July 18, 2023

【ワーケーション】京都の暮らしを少しだけ体験した1週間。コロナを経て、古さと新しさが交わるこの街で見えてきたもの

古さと新しさが交わる街、京都

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京都に来るといつも新しい発見があります。それは京都が長い歴史を持つ街でありながら、外から入ってきた人や文化にも寛容で、その結果面白い化学反応がこの地で起きているからかもしれません。

新緑が鮮やかな5月、いつも旅行でしか来たことがなかった京都に、初めて1週間ワーケーションしてみることにしました。

仕事をしながら滞在する。観光旅行では見えなかった、京都の暮らしを少しだけ体験した1週間です。

学生寮が生まれ変わり、京都カルチャーの発信地に

今回のワーケーションでは、「HOTEL ANTEROOM KYOTO」というホテルに1週間滞在しました。元々は学生寮として使われていた建物を全面改装して、2011年にオープンしたホテルです。

実は、那覇にある「HOTEL ANTEROOM NAHA」というホテルに以前宿泊したことがあって、その時京都にも系列のホテルがあることを知りました。那覇のホテルのインテリアや空間の居心地がとても良かったので、京都に訪れた時はいつか泊まってみようと思っていました。

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烏丸線九条駅を出て10分弱歩くと、住宅街の中にふと現れるモダンな外観のエントランス。現代アートが並ぶロビーにはバスソルトバーがあって、複数のエッセンシャルオイルやハーブから自分好みの香りを調香できます。これはちょっと嬉しいおもてなしでした。

私が泊まったのは通常のシングルルームですが、現代アーティストとコラボしたコンセプトルームがあったり、館内にはいたるところに購入可能な作品が展示されています。開業時からのコンセプトは「常に変化する京都のアート&カルチャーの今」。

建物は学生寮の名残を思わせる古さがところどころに感じられたり、ホテルの近くには昭和から続く昔ながらの銭湯が今も営業しています。京都の歴史を残しながら、新しい文化の発信地となっているこのホテル、古いものと新しいものの良さがうまく溶け込んでいるなぁと思いました。

京都の「食」のプロデュース

京都って昔からあるものにうまく付加価値を加えて新しく売り出す、いわゆるプロデュースが上手い。それは食に関しても例外ではなくて、京都に行く度に面白い商品に出会ったり、行ってみたいお店がどんどん増えていきます。

日本酒がほのかに香る、京都ビール

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京都駅を物色していて見つけた「京都麦酒」。清酒メーカーが作る京都の地ビールです。ペールエール、ブラウンエール、ゴールドエール、ブロンドエールの4種類を展開しています。

清酒酵母が使われているせいか、ビールの喉越しの後に日本酒のようなお米の香りがふわっと香る!今までに飲んだことのないビールで、衝撃でした。

小さな宝石がたくさん詰まった、つまみ寿司のお弁当

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以前から気になっていた花梓侘 (かしわい)というお店で、つまみ寿司のお弁当をテイクアウトしてみました。お昼に受け取りに行ったのですが、お弁当を開けるのは仕事が終わった後の楽しみに。

仕事が終わって先にお風呂を済ませました。テーブルに腰掛けて、さぁ蓋を開けみると…宝石のようにきらびやかなお寿司たちが!食べるのがもったいない。

海老に、ホタテ、焼き穴子、そして生湯葉や生麩まで。平日のお仕事終わりに一つ一つゆっくりと味わっていただきました。こういう夜の楽しみ方もできるのが京都の良いところ。

日本文化を見直すきっかけを与えてくれたコロナ

10代の頃から京都には何度か行ったことがあったけれど、京都の魅力に気づいたのは実はコロナがきっかけでした。

コロナ前の京都は、街を歩けば外国人ばかり、日本語よりも英語や中国語が聞こえてくる。日本にいるのに海外を旅行している気分で、正直行くと疲れる、というのが私の最初の印象でした。

ちょうどコロナが流行り始めて、まだGOTOのキャンペーンをやっていた頃、そういえば最近旅行していないなぁと思い、有給を土日にくっつけて3泊4日で3年ぶりに京都に行くことに。

新幹線とホテルの安いパックを選んだせいで各停の新幹線を予約してしまった私でしたが、東京から行きの新幹線こだまに揺られること3時間、京都に着いて見た光景に驚きました。だって全然人が通りを歩いていないし、日本人しかいないんだもん。

京都の日常に触れた

歩き疲れて円山公園で休憩していたら、小さなお茶屋さんが目に入りました。お店の前にあったメニューを見てみると、少しお高めではあったけれど、気になって入ってみることにしました。

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落ち着いた店内の雰囲気、カウンター席に腰をかけ、季節のお菓子である無花果の餡掛けと煎茶を注文しました。

「お茶を入れる茶器はどれにしますか?」を声をかけられ、作家さんの素敵な器が並んだ棚から目に入った茶器を選びました。

無花果の餡掛けは、皮剥きされた無花果に透明の餡がかかっていて、舌触りがとても滑らか。そこでいただいたお菓子とお茶がとっても美味しくて、京都でこんなにゆったりとした時間を過ごしたのは初めてでした。

それまで私が見ていたのは外側の京都で、こういう日常の時間を見逃していたなぁって

京都は日本文化と向き合うヒントをくれる

少し歩けばお寺が並んでいたり、たまたま入ったカフェの2階の窓からは長屋の屋根が見えたり、モダンなホテルの近くにはレトロな銭湯。京都のワーケーションで過ごした時間は、日本の「古き良き日常」が身近に転がっていて、自分が生まれ育った国について見直す機会を与えてくれました

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そして今回、お休みの日に初めて着物を着てお出かけしてみました。着物のレンタルを利用してみたのですが、朝に着付けをしてもらって、夕方になったら返すという仕組み。

確かに最初は歩きにくくて慣れなかったけれど、普段よりも気持ちが引き締まって、いつも歩いている通りも違って見える。ちょっと特別な日の普段着として、着物という選択肢、アリかも?

この街はこれからどう変わっていくのだろう

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コロナが収束してインバウンド需要が回復してきた今、また前みたいに京都に外国人が増えていくんだろうなぁと思うとちょっと複雑です。日本の文化が外国の方に評価されているのは嬉しい一方で、コロナ禍で感じられた日本の「ピュア」な文化は、また混じってなくなってしまうのかなぁって。

それでも、京都という街がこれからどう変わっていくのか、とても楽しみです。1週間のワーケーションは京都を知るには全然物足りませんでした。

「いつか京都に暮らしてみたい」そんな思いが芽生えた、1週間の終わりでした。