August 01, 2023

変わることと手放すこと、見つけること。

shade

好きだったものが、しっくりこなくなった

「あれ?なんか違う」

今まで着ていた服が、なんとなくしっくりこない日が増えた時期がありました。

ヨウジヤマモトを初めて知り、黒を着こなす凜とした女性に憧れを抱いた高校生の私。それからクローゼットには黒い服が徐々に増えていきました。20代になって持っている服のほとんどが黒い服で、お店に行っても目に入るのは黒い服だし、これからも私は私のスタイルを貫いていくんだろうと思っていました。

それがある日、本当に好きで毎日来ていた服になんとなく違和感を感じるようなったのです。少し前までの私は、全身に黒を纏っている自分がかっこいいと思っていたし、そういう服は自分に自信を与えてくれました。

なのにその時は、黒い服だけがずらりと並んだクローゼットを見て、少し虚しい気持ちになりました。

自分らしさってなんだろう

自分が好きだった服が自分に合わなくなった(と感じる)のはとてもショックでした。

自分らしいもの、自分が好きなものというのは、10代の頃から揺らいだことがありませんでした。それなのに、好きなものを着ている自分がなぜかしっくりこない、この違和感はなんだろう。

家族に助言をもらって、「こういうのも似合うんじゃない?」と、いつもと違う雰囲気の服を買ってみたけれど、少し時間が経つとやっぱり違う。とりあえず手持ちの服を着てみるけれど、何を着てもしっくりこない日が続きました。

自分が追い求める女性像の影

ある日ジムに行ったら新しい若い女性のスタッフが増えていて、自分が変に意識していることに気づきました。その女性のスタッフが一生懸命仕事を覚えようとしているのは頭では分かってるのに、少し手を抜いている姿を見るとイラッとしたり、若い男性のお客さんと楽しそうに話している場面を見て、少し嫉妬に近い感情を抱いていたり、なぜかそのスタッフがあんまり良くない意味で気になる。

後になって冷静になり、なんであの時そういう感情を抱いてしまったんだろうと考えてみたら、その女性が若くて、綺麗で、なんか放って置けなくなるような、女性らしい魅力を持っていることに気づきました。私はそういう女性の「あざとい弱さ」を外に出すのがすごく苦手。

私が憧れてきた女性は強くて、凜とした自立した女性で、そういう女性になりたいとずっと思ってきました。でも、心のどこかで、そのスタッフが持っている女性の魅力を持ち合わせていない自分にコンプレックスを抱いていたのかもしれません。

新しい自分との出会い

新しい自分に出会うきっかけとなったのは、ロングの髪をバッサリ切ったことでした。

以前成人式の翌日に思い立って髪をボブにしたことがあったのですが、その時は髪が短いのは自分には似合わないなぁと思ったのを覚えています。だから今回も自分には似合わないんだろうなぁと思っていたのですが、気分を変えたくてバッサリ切ることにしました。

8年ぶりのボブ。

仕上がりを見て、想像以上にボブが今の自分には似合っていることに驚きました。そして、ゆるいパーマを当ててもらったことで全体がやんわりとした印象に。

そして気づいたのは、今の自分が求めている女性像は、自分が10代の頃から追いかけていた「強くて、凜とした女性」から、少し変わったのかもしれないということ。

私がまだ知らない、自分らしさを探して

その一件があって、自分が好きなものを持ち続けることも大事だけれど、変わり続ける自分に似合うものを探すことも、それと同じくらい大事なんだと思いました。今の髪型に似合う服を着てみたい、今の私に似合う服を着てみたい、それは黒い服じゃなくてもいいと思えたのです。

Pinterestで今の自分に似合いそうなファッションを探していたら、今までの自分の見ていた世界はすごく狭かったんだなぁと思いました。黒い服という括りでしか服を探していなくて、毎日のファッションを楽しむ気持ちを忘れかけていたんだと。黒い服を来ていた日も楽しくなかったわけではないけれど、知らないうちに「自分には黒しかない」と思い込んで、ファッションの遊び心を忘れていました。

ヨーロッパの女性がデニムを着こなしている写真にすごく惹かれて、デニムを新調しました。今まで持っていた黒色のパンツが並んだ引き出しに、一つ、淡い青色のデニムが加わりました。

ゆったりとしたシルエットの服が好きだったけれど、上半身はぴったりめのシルエットの方が自分の身体のラインが出て綺麗に見えることにも気づきました。

自分が変わっていくことを、少しずつ受け入れられるようになりました。

今まで好きだったもの、それは「昔」好きだったものになりかけているけれど、たまにまた引っ張り出してみることもあります。今の自分はどう感じるだろう?まだ好きだろうか、まだ着れるだろうか?そう問い直して、今の自分がもう着ないだろうと思った服は、手放しました。

10代と20代を形作ってきた「私」の中で、手放したもの、残したもの。そして新しくできた余白に、これから何が埋まっていくのか。気長に待ち続けようと思います。